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草津温泉「湯畑」の湯けむり(群馬県)
東京から車で約3時間、日本有数の温泉地で3本の指に入るといわれ、古くから人々を癒し親しまれてきた草津温泉は、標高2,000mを超える活火山である草津白根山の裾野に位置し、その泉質のよさから、日本各地より観光客や湯治客が訪れています。

草津温泉のシンボルともいえる「湯畑」は、温泉街の中心に位置しており、周りをたくさんの旅館や土産店に囲まれ、毎日観光客でにぎわっています。見た目は細長く段々畑のような形をしており、それゆえ湯畑と呼ばれるのもうなずけます。立ち昇る香りは独特な硫黄の香りで、ほかのどの香りとも違う個性を感じさせ、温泉情緒をより一層高めています。

この湯畑から湧き出す湯ですが、毎分5,000リットルという自然湧出泉としては日本一の湯量を誇り、泉質は草津温泉が「泉質主義」と宣言を掲げるほど豊かなものです。ほとんどの浴場で、湯船にためた湯を循環して使い返さず「かけ流し」されているところが、湯量豊富で泉質豊かであることを証明しているように思います。古くから湯治場として栄えてきたからでしょうか、街を歩くとあちこちで公共浴場に出合います。正式には、温泉街の中には18ヵ所とたくさんの公共浴場が点在しているそうです。

湯畑付近にある「熱の湯」を訪れてみました。ここでは、草津ならではの歴史的な入浴方法の、「湯もみ」を見学そして体験することができます。湯もみとは、源泉の熱い温度の湯を、入浴者たちが六尺板をもって湯をもみ、入浴できる温度まで熱を下げるというもので、同時に入浴前の準備運動も兼ねている、合理的なものです。湯の温度が48℃くらいまで下がったところで集団で入浴する方法が「時間湯」というもので、湯もみをした入浴者たちが一斉に集団で入浴し、湯の熱による刺激を拡散させるそうなのです。そのため湯長と呼ばれる者が号令をかけ、時間を3分間に限って入浴するところから時間湯と呼ばれたそうなのです。

湯もみが始まりました。誰もが一度は耳にしたことのある、「草津よいと〜こ〜一度は〜おいで〜」という草津節を歌いながら、手にした六尺板を右へ左へ、湯をもんでいきます。その姿はとても日本らしい文化を香らせるもので、個性的です。草津温泉のすばらしさを世界に紹介した、ドイツ人医師のベルツ博士も、この湯もみに参加したのだろうかと、しばし遠い昔に思いを馳せました。

そして再び私は湯畑へ戻ってきました。湯畑の周りは、ぐるりと散策できるように石畳や階段造りになっています。途中、人々が集まっている東屋のようなものを発見し、興味をもってのぞいてみると…それは足浴場でした。4畳半ほどの東屋の真ん中には足浴できる湯船があり、誰でも気軽に足を浸すことができます。日本各地から集まった人々が、和気あいあいと語らいながら足浴している光景が、とてもほのぼのとしていて印象的でした。

今回、草津温泉に3日間滞在し、その上質な湯を余すことなく楽しんできましたが、東京に戻ると、思わぬお土産をいただいてきたことに気づきました。それは「湯の香り」です。草津の湯は硫黄泉の薬効もさることながら、その香りもとても強いので、3日間入った私の身体や衣服には、すっかりその香りが染み込んでいたのです。その後数日間にわたってほのかに漂い続けた湯の香りを感じるたびに、「草津よいと〜こ〜一度は〜おいで〜」と口ずさむのでした。
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