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一宮町の線香づくり(兵庫県)
兵庫県淡路島にある一宮町は全国7割の生産高を誇る「日本一の線香の町」として知られています。淡路島の西海岸のほぼ中央に位置し、大阪・神戸からは明石海峡大橋を渡ると自然に恵まれた美しい島へ行くことができます。

イザナギとイザナミの二神が日本列島で最初に創った島、それが淡路島であると語られています。その二神を祭るのが一宮町にある「伊弉諾神宮」です。また、推古3年(595年)淡路島に流木(沈香木)が漂着し、漁師がそれを燃やしたところ、すばらしい香りがたちこめたので一宮町にある「枯木神社」に奉納し、朝廷に献上したと日本書紀に記されています。このように日本のお香の歴史は大変古く神秘的であり、淡路島とお香は密接な関係があるのです。

淡路線香は嘉永3年(1850年)一宮町江井の田中辰造が大阪の堺から技術を持ち帰り、一宮町で製造したのが始まりです。港町として賑わっていた江井浦は季節風の影響で冬は港が閉鎖されるため、船主たちが副業として積極的に取り組んだようです。気候と立地条件が適していたことと農漁業を営む女性たちの労働力もあり、着実に線香製造が根づき、香りが大衆化していきました。

このような香りの町に興味をもち、今回一宮町に行ってきました。淡路島の西海岸線を南に下って一宮町へ。港や海水浴場が点在し、網を干す棚が幾度となく目に入り、「お魚がおいしいだろうな〜」などとお香のことを忘れかけていたとき、江井地区の少し手前あたりからやさしいお香の香りに包まれ始めました。海のそばにいるにもかかわらず、お香の香りが磯の香りよりも勝っているのです。江井に入ると線香事業社(16社もあるそうです)が軒並連なり、数軒空いてはそこの○○倉庫、○○事務所、○○工場と「線香」に関係する建物ばかりです。4人に1人は線香と関わっていると聞いていたのが、大変納得できました。一帯がお香の香りに包まれていて幻想的であり、時の流れが緩やかになったように感じるのです。

私が出かけた土曜日は、工場などはお休みのところが多いようで、江井から少し離れた平日以外も線香づくりを見学・体験できるという
「薫寿堂」さんに行ってきました。見学では

(1) 原料を紛砕、攪拌し
(2)調合された香料と湯を加え練り上げ、円筒形にし
(3) それを線状にして
(4) 適寸に切り揃え
(5) 1週間〜10日間自然乾燥させ
(6) 結束、熟成させて包装する

という工程を見せていただきました。昔はすべて手作業でしたが、今は機械と手作業の併用で製造されています。また、お線香の主原料であるタブの木(クスノキ科。木皮を乾燥し粉末にして使用)や植物性香料(白檀、乳香、伽羅…)や動物性香料(麝香、竜涎香…)など香りの原料が展示してあり、実際香りを嗅ぐことができました。そして、お香づくりも体験できました。色素入りタブ粉に水を入れて練り、液体香料を入れ、さらに練り、伸ばして型どりするという作業です。その際使用した香料は精油?と疑問がわき質問してみましたが、合成を多く含むオイルとのお返事でした。自然なもののみでは原価的に厳しいのと、お香として香りを保つには自然なもののみでは難しいとの理由のようです。

私たち日本人にとってお香は大変なじみ深いものです。心を落ち着かせ清めてくれるのは、お香にも精油にもいえることで、香りを感じ、生活できるのは大変すてきなことです。このように香りのパワーを日々得ている一宮町の方々を大変うらやましく思います。
最後に皆さん、お香の日がいつかご存知ですか?日本のお香の歴史の始まりである「595年4月に淡路島に沈香木が漂着した」との記述と「香」の字を「一十八日」と読みを合わせ「4月18日」なのだそうです。
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