HOME > アロマ環境について > 全国のかおりレポート > No.7 厳島神社 潮のかおり

厳島神社 潮のかおり(広島県)
朝一番の船で桟橋から、宮島へと向かいました。宮島は豊かな自然に恵まれ、多くの歴史の足跡の残る町です。島の中央にそびえ立つ弥山は、古くから神として崇められ、信仰の対象とされてきました。今でも船から弥山の原生林の緑を背に立つ朱い鳥居がだんだん近づいてくるのを見ると、次第におごそかな気持になっていくのを感じます。

厳島神社は、推古天皇即位元年に創建され、平清盛によって現在の姿に造営されました。海を敷地にした奇想天外な構成と、寝殿造りの華麗な外観は、時の権力者清盛の在りし日の栄華をしのばせます。

この日の満潮は午前7時38分。朱塗りの社殿と大鳥居は静かな海面に浮かび上がり、自然の風景と平安の粋を極めた人工の建造物が見事に調和しています。「潮のかおり」が感じられるのも、ちょうどこの満潮の頃です。「かおり」といっても、エッセンシャルオイルのように特徴のはっきりしたにおいではありません。ふと風の向きや強さが変わった瞬間、ほのかに感じられるかおり。いわゆる磯のかおりとも違った、海産物の雑味のないクリアな空気。心の底に染み通っていくような透明感。それでいてどこか懐かしさや暖かさの感じられるかおり。

もっと、かおりのことが知りたくて、宮島町役場の木村充宏さんをお訪ねし、詳しくお話を伺うことができました。木村さんは高校時代、船で広島市の五日市へ通学されており、クラブ活動を終えて、帰りの船が桟橋へ着くとき、潮のかおりにほっと心が和むのを感じられたとか。

宮島の潮のかおりとは一体何なのでしょうか。瀬戸の穏やかな海が長い年月をかけて育んだ、天然のかおり。それは単に嗅覚で感じとられるものだけでなく、海の青さや、回廊の朱色の柱に映る波の文様、波の音、風の揺らぎなどとあいまって、私たちの五感を通して膨らんでゆくイメージなのかもしれません。

かおりを漂わせているのは、潮の満ち引きなど海水が動くことによるのではないかとも。近年の異常気象で増えすぎて厄介者扱いのアオサも、かおりを強くするために一役買っているそう。

役場を出て、昔の町並みの残る町屋通りや、土産物屋が建ち並ぶ表参道通りを散策した後、再び大鳥居を望むとすっかり潮が引いていました。遠浅が鳥居の先まで広がり、あたりは鳥居に向かって歩く人や、記念写真を撮る人たちで賑わっていました。
海岸へ降りてみると、強くて濃い磯のかおりがしました。砂の上で照り返しを受けたアオサや小さな貝殻から立ち昇っているように思えました。
朝は豊かな水をたたえていた所が陸になり、磯の香がにおいたつ。時間の流れでこんなにも大きく変わる風景と「かおり」。日頃意識することのない自然の力を実感させられました。

[写真]
上:満点の大鳥居
   大鳥居の鮮やかな朱丹と青い海のコントラストが美しい。日本三景のひとつ宮島のシンボル的存在だ。
中:厳島神社の回廊
朱塗りの柱が連なる厳島神社の回廊。おごそかでありながら華やかさも感じさせる。
下:引潮の大鳥居
引き潮の時は歩いて大鳥居までいくことができる。観光客や貝を掘る人たちにまじって、ときにはカラスや鹿の姿も。
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