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江東区新木場の貯木場(東京都)
雨上がりの日曜日に貯木場をふたりで訪ねました。木材の街である木場は江戸時代から木材の集積地として発展しましたが、公害や危険防止のため昭和47年から埋立地へと移転を始めて現在の「新木場」ができたそうです。駅近くにある貯木場を囲むように製材工場や材木問屋などが立ち並んでいます。材木問屋が並び、道の向こうはすぐ海でウォーターフロントを行き交う船が通っています。

日曜日に突然訪問した私たちは、幸いにも木材店のオーナーに会い、お話を伺うことができました。「木材は生きているんです」とオーナー。 お話によると、木は木材になっても天地があり、それは山に生えていたときの上下と同じで、何らかのエネルギーが通っています。建築の際に柱などにその天地を逆にして用いると、そこから発せられる波動も逆になり、それが人間の心身、特に精神にとってマイナスの作用をもたらしてしまうそうです。昔から大工さんの間で伝えられてきた「天地を正しく使え」という柱の作法はその通りであったことがわかりつつあるらしいのです。ただ外国産材の場合は切られた後では専門家にも天地は非常にわかりにくいそうです。

お話を楽しく伺った後、私たちは新木場駅までしばらく歩いてみることにしました。時折、材木とはまったく関係なさそうな倉庫などがあるほかは、材木問屋や製材・木工工場が立ち並び、木材の芳ばしい香りがあちらこちらから風に運ばれて漂ってきます。香りは少しシャープだったり渋かったり、またときには甘くさえあったりと、少しずつ表情を変えながら街中に存在しています。杉、ヒノキ、ヒバ、そして外国産の数々の木材の香りがこの貯木場や材木問屋でひとつにまとまって、木場の香りをつくり出しているのでしょう。

今回、木場の香りに包まれることを楽しみながらも、この旅の中のちょっとした気分転換のように感じられたのは道端に咲いていたフリージアから発せられていたさわやかな香りでした。ベルガモットを思わせるようなすっきりとした甘さで、木場の香りともよく似合い、ハーモニーを醸し出していました。
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