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| 山下 千恵 やました・ちえ AEAJ認定アロマテラピーインストラクター。 日本大学農獣医学部農芸化学科卒、ファンケル化粧品商品企画勤務後、自然療法を学ぶ。アンカラ在住。 |
ハーブというと、どこかヨーロッパ的なイメージが強いのですが、トルコもかなり古くからハーブを生活に取り入れ、さまざまな治療にも用いてきた国のひとつといえるでしょう。多くのハーブの原産地が地中海地域であることからもわかるようにトルコではその恵まれた土壌と気候のため、たくさんのハーブが自生しているのです。日本人が緑茶を好むようにトルコの人はたっぷりとお砂糖を入れたチャイ(黒海原産のトルコの紅茶)を非常によく飲むことは有名ですが、ハーブティーもまた好まれています。どの家庭でもキッチンには、たいていハーブティーや料理のためのハーブを詰めた瓶がずらりと並べられていて、ときには自分でオリジナルハーブティーなどもつくっていたりします。 |
| また街のカフェのほとんどが数種類のハーブティーをメニューに載せています。ハーブティーの種類は代表的なものでペパーミント、菩提樹(リンデン)、カモミール、セージ、タイム、ローズヒップ。ペパーミントとセージの場合、レモンが添えられているかティーバッグの場合はあらかじめレモンの風味が加えられています。ローズヒップはメニューには明記されていないのですが、たいていハイビスカスとブレンドされた形で出されるので、きれいなルビー色をしています。私はハーブティーには甘味を加えず香りを楽しむのが好きなのですが、彼らはチャイと同じように角砂糖をいくつも入れて甘くして飲みます。そして幼い頃から家庭で親しんでいるため、小さな子どもや男性でも体調に合わせてハーブティーを選び、周囲に体調の悪い人がいると、それにはこのハーブがいい、と次々とハーブの名前が出てきたりもします。そのほかには少し珍しいもので、黒イチゴやマルメロの葉のハーブティーがあります。特に、私はこの甘酸っぱい黒イチゴのハーブティーが大好きで、毎日のように飲んでいます。マルメロの葉のハーブティーは単独で飲まれることは少なく、どちらかというと療法としてブレンドして飲まれるハーブのひとつです。 |
黒イチゴの学名はRubus furticosus、バラ科の植物で、トルコ名を |
| 一方、マルメロの学名はCydonia vulgaris、やはりバラ科の植物で、トルコ名をAyva(アイワ)といいます。5〜6m丈で卵形の葉をもち、淡いピンクの花の後、香り高く硬い果実をつけます。ハーブティーとしては葉部を下痢や不眠、神経の鎮静、また熱さましにも用いられています。また種子を煎じた抽出液を子どもの下痢や咳の治療、うがい薬に用いたり、皮膚を柔軟にするローションとして用いるケースもあるようです。マルメロは非常に古い栽培植物のひとつに数えられており、昔ギリシャではこの果実は美の女神アフロディーテに捧げられたといわれ、アフロディーテ像の右手にはマルメロが握られているのだそうです。そして、この時代の結婚式では花嫁と花婿はマルメロを食べる習慣があったとも記録されています。トルコでは妊娠中にマルメロを食べるとえくぼのある子どもが生まれるという迷信があり、今でもよく話題にあがります。また、マルメロの実を生でも食べるトルコでは、困難にぶつかったり、予期しない展開に困惑する人に対して「Ayvayi yedin.(君はマルメロを食べた)」という言葉でエスプリにします。硬いマルメロの実を飲み込むのはほかの果物に比べて難しいことから、こんな言葉が生まれたようです。私が以前にトルコ西部のイズミルという街に住む友人の家を訪れた際、彼女の母親がブレンドしたマルメロのおいしいハーブティーをいただきました。 |
マルメロの葉のほかに黒イチゴ、カモミール、タイム、ローズマリー、セージがランダムにブレンドされたこのハーブティーの味は今でも忘れられない味のひとつです。これらのハーブはすべて彼女たちの夏の家から近い野山に育ったもので、手摘みして乾燥させてつくられたものでした。ときどき、バスで旅をしていると野山でハーブらしきものを摘む人を見かけます。そういえば私がまだ小学生だったころ、春になると家族でヨモギを摘みに出かけ、ヨモギ餅をつくったものでした。 |
| トルコで生活していると人間が季節を、自然を追いかけ、頼って共存していること、そして自然のサイクルやリズムが私たちの心身にも刻まれているのだと実感させられます。ですから私の大好きなマルメロのデザートを1年中口にすることはできません。マルメロの果実が熟す季節、秋だけのとっておきのお菓子なのです。私は毎年、あのマルメロが小さな若葉から果実になるまでのこの大自然の営みを首を長くして待っているのです。 |
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ハーブというと、どこかヨーロッパ的なイメージが強いのですが、トルコもかなり古くからハーブを生活に取り入れ、さまざまな治療にも用いてきた国のひとつといえるでしょう。多くのハーブの原産地が地中海地域であることからもわかるようにトルコではその恵まれた土壌と気候のため、たくさんのハーブが自生しているのです。日本人が緑茶を好むようにトルコの人はたっぷりとお砂糖を入れたチャイ(黒海原産のトルコの紅茶)を非常によく飲むことは有名ですが、ハーブティーもまた好まれています。どの家庭でもキッチンには、たいていハーブティーや料理のためのハーブを詰めた瓶がずらりと並べられていて、ときには自分でオリジナルハーブティーなどもつくっていたりします。
黒イチゴの学名はRubus furticosus、バラ科の植物で、トルコ名を
マルメロの葉のほかに黒イチゴ、カモミール、タイム、ローズマリー、セージがランダムにブレンドされたこのハーブティーの味は今でも忘れられない味のひとつです。これらのハーブはすべて彼女たちの夏の家から近い野山に育ったもので、手摘みして乾燥させてつくられたものでした。ときどき、バスで旅をしていると野山でハーブらしきものを摘む人を見かけます。そういえば私がまだ小学生だったころ、春になると家族でヨモギを摘みに出かけ、ヨモギ餅をつくったものでした。