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| 藤木 由美子 ふじき・ゆみこ
AEAJアロマテラピーインストラクター。日本リフレクソロジー協会認定リフレクソロジストおよびITEC認定ホリスティック・セラピスト。シンガポールでは、リフレクソロジスト、セールスコンサルタントとして業界に従事。 |
| この記事を皆さんに読んでいただいている頃は、私はアメリカで新生活を始めています。現在、すでにシンガポールを離れ、主人の実家、マドリッドでこの原稿を書いています。余談になりますが、この季節、マドリッド郊外の住宅地では、垣根に植えられたジャスミンがどこも満開です。早朝漂うジャスミンの清々しい香りは、日中の厳しい日照りによって、からからに乾いた大地につかの間の潤いを与えてくれます。シンガポールは、プルメリアなどのトロピカルな花の芳香が、年間を通してどこからとなく漂ってきて、亜熱帯気候の重く湿った空気に快適さをもたらしてくれます。シンガポールを離れて3日目、所変われば植物も変わり、香りのカルチャー・ショックとでもいったところでしょうか。今回は、私のシンガポール滞在経験をもとに、シンガポール・ウェルネス産業の最新動向について、マドリッドよりお届けしたいと思います。 |
| シンガポールのウェルネス産業は、シンガポール政府観光局(注1)の大きな後ろ盾もあって、近年異例の産業成長を成し遂げ、今日のシンガポール経済に大きく貢献しています。最近では、近隣のタイやインドネシアなどに事業を拡大し、めざましい実績を残してます。また東南アジア地域のウェルネス産業のビジネス・リーダー、トレンド・セッターとしても重要な立場を果たしています。8月には、国内のスパ事業者、業界関係者を対象に、事業拡大を目的としたスパ・シンポジウム・シンガポール2005が3日間にわたって盛大に開かれることになっています。 |
| シンガポールといえば、まずはリフレクソロジー。ここでは、台湾式が主流ですが、近年、タルカム・パウダーを使用するソフトなタッチのアメリカ式も紹介され、台湾式同様に好評を得ています。ショッピングのメッカとして知られるオーチャードは、まさにリフレクソロジーのビジネス激戦地。ツーリストのみならず駐在を含めたローカルたちが、買い物袋を片手にひとときの安らぎと癒しを求めてサロンに足を運びます。ツーリスト・クライアントの大半は団体で、あっという間に来店して、嵐のように去っていきます。しかし、中には滞在中に個別で何度も足を運んでくださる方や、来星の際は必ず来店してくださるといった貴重なリピーターもかなりいます。 |
| シンガポール・リフレクソロジーのユニークな点は、単なるリラクセーションや健康を助長するといったマッサージの常識だけに留まらず、国際交流としても大きく社会貢献しているということです。英語の苦手なクライアントが片言の英語と自国の言葉で地元セラピスト(シンガポール人、マレーシア人、インドネシア人など)とコミュニケーションをとる光景は、癒しの場というより、観光地か語学学校のようです。多くのツーリスト・クライアントは、施術の内容以上に、ローカルとの触れ合いに満足感を得るようです。シンガポール政府観光局の発行する多くの観光ガイドには、年間通して数多くのリフレクソロジー・サロン、スパのプロモーションを見つけることができます。 |
| さて、シンガポールのスパですが、ローカルに限定して申し上げますと、デート・コースとして数多く利用されています。カップルで、スパ・パッケージやアロマテラピー・トリートメント、フラワー・バスを楽しむといった傾向が目立ちます。年齢を問わない幅広い層のカップルが、個人の記念日や、リラクセーションを目的としてスパを訪れ、とても仲睦ましいものです。私の勤務したスパでは、今年のSt.バレンタインズ・デーにカップル限定の特別スパ・パッケージを企画しました。お蔭さまで、若いカップルに大反響いただき、当日の予約キャンセル待ちができきたほどでした。当日は、大きな花束(これはローカル・カップルのお約束アイテムのようです)、風船や縫いぐるみといったプレゼントを両手いっぱいに抱えたカップルの接客に追われ、また同時に日本との文化の違いによるカルチャー・ショックも受けました。また、エグゼクティブになるとランチ時間を使って、男性でもネイル・ケアされる方は少なくありません。 |
| 一般にスパといっても、ローカルで賑わう町スパから、ツーリストがイメージするような高級なものまで、施設内容とサービス価格には大きな幅があります。ローカルのサービスに対するディマンドは非常に高く、クレームに関しても常に率直で好き嫌いがはっきりしています。よって、クライアント・ニーズは大変わかりやすいのですが、現場対応する者はかなり神経を使います。 日本では、スパやオイル・ボディ・トリートメントとなると、女性に限定される傾向が見られ、男性には敷居が高いような状況にあるようです。しかし、シンガポールでは、男性も気軽にオイル・ボディ・トリートメントが楽しめます。そこで、日本人男性ツーリストでスパに来られる多くの方からは、以前からオイルを使ったボディ・トリートメントに興味があったが日本ではなかなか体験する機会がなかったといったようなお話を聞きました。 |
| また、人種や文化の違いによって、トリートメント・テクニックの好みに差があります。私たち日本人やシンガポール人といったアジア人は、指圧テクニックを取り入れた痛気持ちいい感覚が好まれるのが一般的ですが、西洋人には、撫でる程度の軽いタッチのほうが好まれる傾向があります。 |
| アジアのハブであるシンガポールは、東西の文化が融合したコスモポリタン都市です。そこで、東西の叡智が詰まった多様なテラピーが身近に利用できるといったすばらしい利点があります。一般的なアロマテラピー、スウェディッシュ・マッサージ、指圧はもちろん、バリニーズ、エジプト式マッサージ、インディアン・ヘッド・マッサージ、トウィナイ、アユールベーター、レイキ・トリートメントと名前をあげるときりがありません。また、ドイツやスイスなどのヨーロッパ諸国から、スパの視察に来られる方も少なくなく、皆さん、アジア人の極め細かなサービスと技術の高さに感動されて帰って行かれます。 |
シンガポールは、テラピー教育の現場(注2)としても、東西の橋渡しをしており、英国のIFA やITECの認定資格のコースが同じアジア内で、本国の英国に留学よりも英語という同じ言葉を使って低予算で受講でききます。私たち夫婦も滞在中に、ITECのホリスティックとアロマテラピー認定コースを受講しました。会員の皆さまの中で、今後、海外にマッサージ留学を考えていらっしゃる方がいるようでしたら、シンガポール留学をぜひお勧めします。 |
| 最後に、シンガポールのウェルネス産業の今後の大きな課題として、事業関連法案の確立による事業内容の品質向上があげられます。現在シンガポール政府は、セラピストの有資格とスパ店舗の認可制度およびランクづけを導入する方向で準備を進めています。昨年12月からは、法的認可のもと、公共の場で男性セラピストも女性セラピスト同様に、ボディ・マッサージ(着衣不可の肌の露出度が高いもの)をクライアントに施術することができるようになりました。シンガポールのアロマテラピーは、リラクセーションを目的とするものが主流で、代替医療としての周囲の認知度はかなり薄いようです。 |
| (注1) シンガポール政府観光局後援のスパ・アソシエイション・シンガポール http://www.spaassociation.org.sg (注2) スパアカデミー。シンガポールのSenior Minister of State, Ministry of Trade and Industry, Ministry of Education であるピーター・チェン氏によって2001年10月22日に設立されたシンガポール初のSpa education and skills training institute。トレイナーも受講生も国際色豊か。 http://www.spacademy.com.sg |

シンガポールは、テラピー教育の現場(注2)としても、東西の橋渡しをしており、英国のIFA やITECの認定資格のコースが同じアジア内で、本国の英国に留学よりも英語という同じ言葉を使って低予算で受講でききます。私たち夫婦も滞在中に、ITECのホリスティックとアロマテラピー認定コースを受講しました。会員の皆さまの中で、今後、海外にマッサージ留学を考えていらっしゃる方がいるようでしたら、シンガポール留学をぜひお勧めします。