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| 手塚 千史 てづか・ちふみ
(株)ヴィーゼ代表。S・F・リチィ著『天の香り』翻訳出版を機に1994年ヴィーゼ社設立、「天の香り」精油の販売開始。1998年ドイツのアロマテラピー協会の日本支部フォールム・エセンツィア・ヤーパン設立。副代表を務める。 |
| このシリーズ、ハイルプラクティカー(以下HPと略)についてのレポートを3回でまとめるように依頼されたのですが、調べているうちにどんどんお知らせしたい内容が増えてしまい、事務局に無理をいって計4回にしていただきました。最終回の今号は診療所の規定と診療報酬について書きます。 まだまだご紹介したいことがたくさんあって、何を削除するか、毎回迷いました。いずれ本の形にしたいと考えております。すべてのことが非常に詳細に規定されているので、ドイツにおける法治国家の概念はこうしたものかと、日本での法規定と比較して違いにびっくりしました。 読みづらい拙稿を我慢して読んでいただき、ありがとうございました。 |
診療所HP法第3条は、HPは原則として本人の診療所でのみ治療できることを規定している。この条文はすでに19世紀末に当時の営業令に定められている。治療者が所在地を変えることによって、間違った処置の責任を問われることから免れることを規制することが目的で、今日でも医師とHPに同じくあてはまる。一説にはジプシーがHP資格をとり、放浪して診療することを妨げる意図があるともいう。 ただし緊急事態の応急措置は本法から適用除外され、刑法の中で現場に居合わせた者すべてが応急措置を施すことを義務づけている。 第3条の「放浪する」とは“路上営業”を定義している営業令(第55条、旧法)に由来している。各地を放浪して医療行為を行うことの禁止は、治癒行為に関わる者に職業として“路上営業”を行わせないことを意図している。当該HPが、 ●業として ●事前申請なしに ●診療所をもつことなく、または診療所以外の場所で 治療行為を行う場合に、“路上営業”が問題となる。 原則としてHPは診療所をもたなければならないが、診療所とは営業令に「長期的に使用できるように整えられ、治療行為のために常時もしくは定期的に反復して使用できる空間」と規定されている。この規定により、例えばホテルあるいは飲食店の一室を一時的に借りて診療所とすることを排除している。 ただし、定期的に反復して利用でき、注意義務に十分な配慮をして診療所間を移動するように手はずを整えるのであれば、第2診療所を設けることができる。これに反し医師が第2診療所を設けることは通常禁止されている。 |
HPが管轄の保健局に“事前申請”しているのであれば、例外的に診療所以外の場所で治療できる。この往診は、ホテルにおいても、その他の場所でも治療行為が行えることを意味している。上記の定義からはHPが診療所をもっていなくても営業できる結果となる。事前申請していれば、“路上営業”することにはならない。治療者が申請診療所でのみ真摯に、立派に治療して成功した例としては、有名なF.X.Mayr氏があり、彼は自分の診療所をもたず、常にホテルの一室で患者を診たことでよく知られている。ただし、この例外は保健局からもHP同業者組合からも好意的に受け止め轤黷トおらず、申請は面倒な事態になることが多い。HPの職業が過去の時代の“どさ回りのいかさま医者”のイメージとつながる疑いがあるからだろう。 |
診療報酬多くのHPが非常に優れた療法士であるにもかかわらず、経営と診療所の組織にあまり関心をもたない場合がある。患者を長期にわたって助けたいのなら、診療所をしっかりした経済的基盤にのせなければならない。 HPの報酬は医師報酬と異なり、法律に定められていない。例えば医師では医師料金規則があるが、HPに対してはいっさい触れていない。HPのための料金一覧は法規定ではなく、HP同業者組合がアンケートをまとめたリストにすぎない。同業者組合は統一的な請求のベースをつくることを目指している。組合の加盟者はどの行為に対し、いくら報酬を請求したかアンケートをとられ、その結果をまとめてリストにするが、これは単なる集計で、それ以上のものではない。なぜならHP同士が診療報酬について取り決めれば、カルテル法違反になるからである。 |
| HPはHPのための料金一覧にしばられず、いつでも個別の診療報酬を取り決めることができるが、クライアントに明確に請求額を事前に説明しなければならない。またHPは薬剤をクライアントに売り渡してはならないが、診療所の中または往診の際に直接患者に適用することはできる。適用した薬剤は次のように請求できる。 ●薬剤サンプルの投与は報酬の一部として、ホメオパシーレメディの1回だけの投与と同じく、報酬に上乗せして請求できる。 ●自分でつくった薬剤(自己血液注射など)は薬事法に基づき、診療所でのみ適用でき、クライアントに手渡してはならない。この薬剤に対してはクライアントとの治療契約で取り決めた料金を請求するものとする。 ●HPが自分で薬局で購入し、診療所で直接適用した薬剤(点滴薬、注射薬)は購入価格と同額を請求書に“支出”として載せることができる。 ●点滴器具、絆創膏、鍼灸の鍼などは原価をクライアントに請求できる。 例としてBDH(ドイツ・ハイルプラクティカー連盟)の診療報酬表の一部をここに紹介する(左段下表参照)。 |
| ハイルプラクティカーについてドイツ人に意見を聞いてみました。 Aさん:医師とHPが協力して診てくれると理想的だが、ほとんどの医師がHPを無視している。医師でHP資格をとった人をひとり知っているが、特に生活習慣病、慢性病のときに納得のいく治療をしてくれ、安心して任せられる。 Bさん(女性の麻酔医):若い人の間の代替医療崇拝には奇異なものを感じる。免疫を強化し、病気にならない予防措置としてはよいと思うが、実際に病気になったら絶対医師に診せなければならない。
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診療所
HPが管轄の保健局に“事前申請”しているのであれば、例外的に診療所以外の場所で治療できる。この往診は、ホテルにおいても、その他の場所でも治療行為が行えることを意味している。上記の定義からはHPが診療所をもっていなくても営業できる結果となる。事前申請していれば、“路上営業”することにはならない。治療者が申請診療所でのみ真摯に、立派に治療して成功した例としては、有名なF.X.Mayr氏があり、彼は自分の診療所をもたず、常にホテルの一室で患者を診たことでよく知られている。ただし、この例外は保健局からもHP同業者組合からも好意的に受け止め轤黷トおらず、申請は面倒な事態になることが多い。HPの職業が過去の時代の“どさ回りのいかさま医者”のイメージとつながる疑いがあるからだろう。
診療報酬