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アロマテラピーワールドマガジン ドイツ編第2回ハイルプラクティカー2
手塚 千史   てづか・ちふみ
(株)ヴィーゼ代表。S・F・リチィ著『天の香り』翻訳出版を機に1994年ヴィーゼ社設立、「天の香り」精油の販売開始。1998年ドイツのアロマテラピー協会の日本支部フォールム・エセンツィア・ヤーパン設立。副代表を務める。
今年の9月、ドルトムントで開かれたフィトテラピー会議に出席しました。著名なハイルプラクティカー(以下HPと略記)で、フィトテラピストである会議の主催者ペーター・ゲルマン氏の診療所を訪ね、この制度の現状についてインタビューしました。HPとして実際に診療し、診療所を経営して成功し、同業組合のトップとして組織活動と業界の利益を守っている最前線の方に話を聞けたのは、非常に興味深く、有益でした。以下、簡単にまとめてみます。
ゲルマン氏はアロマセラピストで、3年間BDH(ドイツハイルプラクティカー連盟)で学んだ後、HP試験合格。1年半アシスタントとしてHP診療所で働く。1987年にドルトムントに診療所開設。フォールム・エセンツィア会員。BDH副会長。1995年クレメンス・フォン・ベニングハウゼン賞(自然療法において著しい貢献をした人に与えられる)受賞。いろいろな方向性をもったHPがいるが、彼が診療所で力点をおいているのは病歴の確定と診断。そのため血液検査や尿検査などさまざまな検査を行い、小さな実験室もある。夫人が看護士でそうした検査を担当している。クライアントのうち70%が慢性病をもち、30%は急性症状を訴えて訪れるという。
HPの診療所の数は現在ドイツ全土で13,000、その半数が週5日開業し、プロとして生計を立て、残りの半数はなかば趣味のような形で、診療所も必ずしも毎日開いていない。一方、医師の数は13万人、診療所の数は70,000。この40年間でHPの診療所数は2,000増加したが、それには最近25年間のビオ(BIO)ブームが寄与している。HP診療所は南ドイツに圧倒的に多く、その理由としては伝統的に代替療法に対する信頼、興味、受け入れ方の違いがあげられる(南北格差)。平均年収は150,000ユーロ(2,000万円)、ここから賃料、人件費、医療機械代、諸経費を支出する。医師に比べ、高額の機械を買いそろえなくていい点は有利である。
ハイルプラクティカーがしてはいけない行為、できない行為
(HP法では触れられていないが、ほかの法律の規定から導かれるものもある。例えば歯科医師法など)
・住所不定(居所を定めない)で診療してはならない。
・通報義務のある疾患を治療してはならない。
・性病は治療してはならない。
・助産をしてはならない。
・歯科領域の治療はできない。
・レントゲンを使ってはならない(レントゲン技師資格をもっていれば別)。
・死亡証明書は書けない。
・健康保険から料金を請求できない。
・クアの指示、処方はできない(クアは病後のリハビリ、長期保養で健康保険の対象)。
・局部麻酔はできるが、全身麻酔をしてはならない。麻酔医を雇えば全身麻酔もできる。
医師は健康保険から料金を請求し、その治療の範囲は保険で定められている。保険範囲内の治療行為はますます限定される傾向にある。その点HPにおいては支払いはすべて私費であり、クライアントの了承さえあれば、保険にしばられず、それ以上の治療ができる。
HPのこれからの展望
・この制度はドイツでは今後あまり変わらないと思う。
・スイスでは2つの州で、ドイツでHP資格をとった人が営業できる。
・スペインでもこの制度に興味を示している。
・ベネルックス3国では治療の自由がもともとある。
・フランスは黙認している。
HPが適用するメディカル・ハーブについて
ドイツでは植物生薬はつぎの4つのカテゴリーに分類できる。
(1)自由販売生薬・ハーブ類…薬草店で自由に販売できる
(2)薬局限定販売生薬…薬局でのみ販売できる
(3)医師の処方箋が必要な生薬…薬局で医師の処方箋を呈示して購入する
(4)麻薬法の範疇の生薬…薬局で医師の特別の処方箋を呈示して購入する。
このうちHPが処方できるのは@とAのハーブと調剤のみ。これが120種ほどある。
次に前回お約束の施行規則と職業規則を紹介します。

ハイルプラクティカー法の施行規則(2.1.2)
施行規則は主として、HP業の許可を得るために満たさなければならない要件を定めている。
※第1条、第5条、第6条省略
第2条 1.申請者は満25才以上であること。
2.基幹学校(小学校4年卒業後5年、日本の中学校相当)卒業証明書を呈示できること。
3.職業上の信頼性(道徳的な信頼性)を証明できること。
4.心身ともに充分健康であること。
5.試験によって国民の健康に脅威とならないことを証明できること。

3.については警察が3ヵ月以内に発行した無犯罪証明書を呈示し、さらに弁護士が申請者が目下、刑事訴訟または捜査の対象者になっていないことを言明することを要する。
4.については、肉体的な病気によって、または精神力と身体的な力が弱いため、あるいは中毒によって職業活動が制限されないことを、個々の事例で審査するもので、通常は3ヵ月以内に医師か厚生技官が発行した証明書を呈示する。

第3条 1.許可の申請は、下級の行政官庁が衛生局との了解のもとに授与する。
2.許可通知は申請者に発送され、衛生局はそのコピーを受け取る。却下の場合にはその理由を明記する。
3.申請者は異議申し立てを行うことができる。それについては上級の行政官庁が諮問委員会に諮問した後、決定する。
第4条 諮問委員会は医師でもHPでもない委員長と、医師2人、HP2人から構成される。
第7条 第2条にもとづき許可されない要件が後から明らかとなった場合、許可の取り消しが上級の行政官庁によってなされる。この許可の取り消しは諮問委員会の意見を聞くこととする。
さらに1992年に制定された職業規則(BOH)はHPの権利と義務をまとめ、よく表現しているが、ここでは列記にとどめる。
1.職業原則
2.職業の義務
3.守秘義務
4.告知、記録、注意義務
5.継続学習の義務
6.診療の場所
7.診療空間
8.宣伝
9.診療所の看板
10.印刷物とスタンプに記載できること
11.HP名簿への登録義務
12.新聞広告
13.特別な呼称
14.往診
15.HPと薬剤
16.薬剤の処方、手数料、リベート
17.賠償義務
18.通報義務
19.補助員の雇用
20.職業標識
21.職業監督
22.試験
23.ふさわしい規律
24.他のHPの治療参加
25.HP同士の症例に関する協議の秘匿性
26.報酬をとってクライアントを他のHPに紹介することの禁止
27.連絡先の確保
28.職業規則違反
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