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アロマテラピーワールドマガジン カナダ編第2回 カナダの自然療法について
山本 真理   やまもと・まり
AEAJ認定アロマテラピーインストラクター、同アロマセラピスト。緑と香りの学校Tiara主宰。京都工芸繊維大学卒。企業の研究室勤務後、ハーブ・アロマテラピーを学びながら、外資系エステティックサロンに勤務。主にフランスの美容法やマッサージ法を学ぶ。
気候や環境が変われば、生育している植物も変わってきます。カナダは国土が広い国ですから、同じ国でも場所によって生育している植物は変わってきます。私が訪れたケベック州は、夏は暑く、冬は年間平均3mの降雪を記録する厳寒、春と秋は爽快で過ごしやすい…と夏と冬の温度差が極端に違うのが特徴だといえます。
世界の大河のひとつであるセントローレンス川はケベック州(特に南部)の気候や景観を決定づける大きな要因となっており、ケベック全体に新鮮な水を提供してくれています。北部の森林、タイガ、ツンドラからなる広大な地域には、百万を数える湖や川があるそうです。ケベックでは約20の国立ないし州立の自然公園と、18の鳥獣保護区があります。さて、このケベックでポピュラーな植物の一部を紹介したいと思います。メイプルのイメージが強いカナダですが、クランベリーも北米原産でカナダの野生の地でよく見かけることができます。
■エキナセア
カナダの薬局をいろいろまわって感じたのが、ハーブやアロマテラピーなどの商品がたくさん置いてあることです。さまざまな種類のハーブカプセル、タブレット(錠剤)、チンキ剤などが見られました。その中でも特に多かったのはエキナセア商品です。エキナセアはキク科の植物でネイティブ・アメリカンの民間療法で利用されていたことで有名ですが、最近は日本でも抗インフルエンザや抗ガン剤としての役割が発見されているなどの理由で、メジャーになってきたハーブです。エキナセアの種類は9種類ほどあるといわれています。商品に使用されているエキナセアの学名を見ていると、Echinaceapurpurea種のものがほとんどでした。英名ではPurple coneflowerやConeflowerです。北米原産の植物で、豊かで水はけのよい土壌を好みます。この植物は薬としても非常に有効ですが、観賞用としても非常に価値があり、美しい大きな花が印象的です。
考古学者は、17世紀の遺跡から、スー族(ネイティブ・アメリカンの部族)がこの植物を利用していたことを見つけました。彼らはエキナセアを咳や呼吸器の感染症、ヘビに咬まれたときの傷口、天然痘やインフルエンザなどのウイルス性疾患、性病などに使用していました。このように薬効の高いこの植物は、チンキ剤として、ハーブカプセルとして、軟膏として…さまざまな方法で商品化され、薬局の棚に並べられています。そして、今回知り合いのアロマセラピストのお宅に訪問したときには、エキナセアの精油(エッセンシャルオイル)が彼女のセラピストポーチに収められていました。エキナセアのエッセンシャルオイルは、日本ではあまりメジャーではないですよね…!? わざわざ高価なエキナセアのエッセンシャルオイルを購入しなくても、その他のエッセンシャルオイルで期待する効能はカバーできるからだと思うのですが、カナダでは日本よりずっと身近にエキナセアがあるからか、自分のセラピストポーチにはエキナセアのエッセンシャルオイルをもっているセラピストが多いと話してくれました。
ちなみにエッセンシャルオイルに含まれる主要成分は、ゲルマクレン-D、ミルセン、β-カリオフィレンなど。透明な液体で甘くてフローラル調ですが、独特の香りです。エキナセアは胸腺に働きかけるので、免疫システムと関連があり、エッセンシャルオイルの使用も免疫強化やインフルエンザやかぜの予防に使われるとのことです。非毒性、非刺激とのことですが、使用するエッセンシャルオイルの濃度が日本よりもずいぶん高いのにはびっくりしました。これは彼女いわく、「ケベック州はフランス語圏で、フランス式のアロマテラピーが主流。濃度もだいたいフランスと同じじゃないかしら」と話してくれました。エキナセアのハイドロゾル(芳香蒸留水)も冷蔵庫から出してくれ、私のグラスに注がれたアップルジュースに少し加えてくれました。ジュースに少し苦味を感じましたが、おいしかったです。本当にさまざまな方法でエキナセアが利用されているのですね。
■カナディアンフリーバーン
さて、彼女のセラピストポーチからは、日本では見慣れない精油がたくさん出てきます。カナディアンフリーバーンというエッセンシャルオイルが出てきました。
カナディアンフリーバーンの写真を見ると、日本で見かける雑草のヒメジョオンと似ている植物だなぁと思いましたが、学名を見てみるとヒメムカシヨモギのことだとわかりました。カナディアンフリーバーンはニューファウンドランドを除いたカナダのすべての州の緯度55度以南に生育する一年草で、地球上のすべての地域に広がっているわけではありません。ケベック州でも生育していない地域は多くあります。フリーバーンは目の粗い、水はけのよい土壌を好み、しばしば乾燥した土地に生育しています。
このカナディアンフリーバーンはネイティブ・アメリカンの時代から、現地の人には広く知られた薬用植物でした。カナダの自然療法といえば、カナディアン・ネイティブアメリカン・オブジワ族のハーブ療法が有名ですが、もちろんオブジワ族もこのカナディアンフリーバーンを活用していたそうです。特に下痢のときや出産後の止血、胃の鎮痛などに使用されていました。この植物の精油を使った軟膏は関節痛を和らげる効果があるとのことです。エッセンシャルオイルは黄色の液体で、独特な香りです。この香りに慣れていない私は、初めて香ったときに少し眉をしかめてしまいましたが、現地のセラピストは「慣れるといい香りよ」といった言葉をかけてくれました。また、このエッセンシャルオイルは創造活動におけるインスピレーションと表現力を豊かにしてくれるといわれており、第2、5、6番目のチャクラに働きかけるそうです。私が訪れたセラピストの仲間たちの勉強会では、エッセンシャルオイルとスピリチュアルな世界の相関性も調べており、さまざまな活用法がありました。もちろんカナディアンフリーバーンのハイドロゾルも使うそうです。「お土産に…」とカナディアンフリーバーンのエッセンシャルオイルとハイドロゾルをいただきましたが、どんなふうに活用していこうか思案中です。
今回は日本でいうと、ドクダミやヨモギのような、カナダで昔から使用されている植物を取り上げました。どこの国も化学的な薬がなかった時代は、身近な植物を健康の回復や維持に利用していたのですね。大昔から人間の役に立ってくれた植物が、これからも生育しやすい環境が保てるように、私たち人間は気をつけなければいけないと改めて思いました。
ケベックに残された未開の大自然。そこには想像力を超えた無限の風景が広がっています。うねりながら続く丘陵地帯、なだらかな山並み、野生が息づく豊かな深い森、大地を潤す無数の川や湖。これらの大自然に触れられるのもケベックだからこそ…。
森の奥深くに入ってキャンプする、水しぶきをあげながら激流をカヌーで下る、カメラを片手にカナダ・ギースの群れを観察する、目の前でジャンプするナガス鯨に感動する、カリブーの群れを追いながらタイガとツンドラの極北の地を自分の足で歩く…など。
そんな大自然と一体となって体験するアクティビティも、入念な準備と少しばかりの勇気があればケベックで体験できます。各地には誰もが安心して参加できるように専門のスタッフがそろっており、挑戦する人の経験に合わせてさまざまなパッケージが用意されています。
大自然と向き合うことで、いつしか自然と寄り添う自分を発見できるはずです。
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