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アロマテラピーワールドマガジン カナダ編第1回 カナダの自然療法について〜ケベック州編〜
山本 真理   やまもと・まり
AEAJ認定アロマテラピーインストラクター、同アロマセラピスト。緑と香りの学校Tiara主宰。京都工芸繊維大学卒。企業の研究室勤務後、ハーブ・アロマテラピーを学びながら、外資系エステティックサロンに勤務。主にフランスの美容法やマッサージ法を学ぶ。
■カナダの自然
カナダといえば、メイプルシロップ、キングサーモン、オーロラ、赤毛のアンなどが有名で、自然豊かなイメージが強い国ではないでしょうか。カナダは地理上では北米に分類され、総面積は約1,000万平方km、世界で2番目に大きな国土を有している農業国です。その国土の7割は、ツンドラ地帯や山岳地帯などの未開地で占められ、世界の原生地域(南極大陸は除く)の2割に相当します。
実際に訪れてみると、カナダという国が非常に自然豊かな国だということが感じられます。現地の人に聞いてみても、暮らしの環境は最良だと認識している答えが返ってきます。カナダは常に国連のランキングで、世界で最も住みやすい場所のひとつだといわれています。そのような環境に恵まれているからか、環境保全の取り組みにも非常に積極的で、大気や水の質を保ち、自然を守り、野生生物の保護に力を入れています。またカナダ人は政府や企業は世界の生態系に対してより多くの配慮をなすべきであると考えています。ここ数年で日本でも注目されているオーガニック農法という点でも、カナダでは国自体の基準が非常に厳しく、国民のオーガニック農法による農産物への強いこだわりを会話の中で感じることができました。
■カナダのオーガニック農法について
カナダは涼しい気候や広大な大地から、オーガニック農法に適しているといわれています。実際オーガニックの穀物、油種子の生産に関しては世界のトップ5に入ります。ところで、「オーガニック」とはどういうことなのでしょうか。オーガニック農法とは、農薬、化学肥料などを使わずに農産物を育てる方法のことですが、「オーガニック」と認定される基準は国によって異なるのが現状です。例えば日本の場合は「オーガニック」や「有機」と商品表示するには、農林水産省の定める「有機JAS認定」の取得が必要です。この有機JASマークの表示は2001年4月より義務化され、法が課せられました。
カナダの場合は、オーガニックと認証されるのに最低でも3年間は必要で(これは日本も同じです)、専門機関の厳しい指導のもと、土壌サンプルの摂取と分析を何度も繰り返し、基準に合った土壌に改良していかなければなりません。また通常の農家と隣接する場合には、バッファーゾーン、緩衡地帯を25フィート以上設けなければならないなど、数々の条件が設けられており、それらをクリアして、初めて「オーガニック」としての認証を受けることができます。自分の農地だけオーガニックであればいいという認識は通用せず、オーガニック農法を行っていない農地と隣接する場合にも基準が設けられているところが、広大な大地を有するカナダだから可能なことであって、国土の狭い日本では非常に難しいと思われます。こういうところが、カナダがオーガニック農法に適しているといわれる所以でしょう。北米におけるオーガニックマーケットをみると、二桁の割合で非オーガニックからオーガニック食品へと消費者が移りつつあります。ワイルド・オーツだけでも過去2年で5%の売り上げの延びがあるとの報告もあります。
■カナダのハーブ・アロマテラピー
カナダは国土が非常に広いので、地域によって若干の違いが見受けられますが、今回はケベック州に焦点をあててみたいと思います。
ケベック州は、カナダの中でも独特の文化をもっており、ヨーロッパ(特にフランス)の影響を強く受けている地域です。ケベック州民の81%がフランス語を母語としており、英語を母語とするのは約8%であるといわれています。今回お話を伺ったAlexandrineDenisのデスクにも、フランス語のアロマテラピーやハーブ療法の本が山積みになっていました。彼女にお話を聞くと、「カナダ、特にケベック州はフランスの影響を強く受けているので、ハーブやアロマテラピーの利用法や学習に関しても、フランスの情報がたくさん入ってくるのよ」と話してくれました。例えば、精油やハーブが薬局で売られている風景が見られたり、精油を医師の処方箋のもとで飲用するということも、日本では行われていませんが、カナダではそれほど珍しいことではないといいます。精油の販売にはカウンセリングがつくのもよくあることで、販売といえどもセラピストの知識や経験が問われることもよくあるといっていました。
美容の意識の強いフランスの影響を受けてか、街のあちこちに、精油を使った香水ショップや精油やハーブを使った石けん専門ショップなどもよく見られました。芳香蒸留水の使用法も多用で、美容目的での使用はもちろん、料理の風味づけに使うこともあるそうです(これらはすべて飲用もできる芳香蒸留水とのことです)。汚染していない水が手に入れやすいことから、ハーブを蒸留する水にもこだわりをもち、芳香蒸留水にもひとつずつ分析データをとるところなど、品質の徹底ぶりは、さすがオーガニック意識の強い国だな、と感じました。
Alexandrineのお話では、カナダの自然療法はフランスの影響は確かに強いものの、ここ数年で東洋医学への関心がセラピストの間で強まり、「ホリスティック」という概念や、精油やハーブのもつ精神的な働きかけをとても重要視しているとのことです。Alexandrineも東洋医学の勉強をしているとのことで、漢方などの知識も踏まえてセラピーにあたっているそうです。東洋医学の勉強会もセラピスト同士で定期的に行っています。
カナダでの東洋ブームは、アロマセラピストの間だけではないということが、スーパーなどに行くと感じられます。味噌の量り売りコーナーがあったり、緑茶の種類を豊富に揃えてあったり、米、麦、あわ、ひえといった食品が普通のスーパーでも並べられていました。このような食品は、「健康食品」という意識だそうです。納豆は見られませんでしたが…。ハーブ農園の方のご自宅に行ったときには、緑茶が出てきました。聞くところによると、緑茶はよく飲むそうです。街には和食(特にお寿司屋さん)の店もよく見られました。日本にもいいものはたくさんありますね。海外に行くと実感します。
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