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| 藤木 由美子 ふじき・ゆみこ
AEAJアロマテラピーインストラクター。日本リフレクソロジー協会認定リフレクソロジストおよびITEC認定ホリスティック・セラピスト。シンガポールでは、リフレクソロジスト、セールスコンサルタントとして業界に従事。 |
| 最終回のBeauty & Health Report〈アメリカ編〉は、私自身のマッサージ・セラピスト・ライセンスにまつわるスクーリングの体験記で締めくくらせていただきます。 |
| 去年の8月にアメリカに移転したことにより、移転先のテキサス・ヘルス・デパートメント(DSHS)にマッサージ・セラピスト・ライセンスの問合せすることとなりました。審査結果は、ライセンス申請の資格条件として、州認定のマッサージ・スクールにて解剖生理学以外の全科目の単位を取得するようにとのことでした。そこで、今年1月から3ヵ月間のフル・タイムのコースを認定校で受講し、必要科目の単位を補うことにしました。 |
| 私のようなケースは、引越しの多いアメリカではごく当たり前のようで、クラスの中には私と同じような立場でスクーリングをしているクラス・メイトが何人かいます。その中に、カンザスから移転してきた12年の職務経歴をもつセラピストの女性がいます。彼女の場合は、カンザス州がマッサージ・セラピスト・ライセンスの規定がないこと、彼女が過去に受講した教育内容がテキサス州の規定に満たないという2つの理由で、ライセンス申請がDSHSに受理されなかったとのことでした。インターンまでのスクーリングでは、さほど目立つ存在ではなかった彼女ですが、インターンに入ると、ベテラン・セラピストとしての実力を発揮し、ほかのインターン生とは一線を画しています。 |
| 私たちは、250時間の実技・概論のスクーリングを通して、マッサージに係わる幅広い知識と技術を養い、次に続く50時間のインターン・シップに向けてトレーニングを積んできました。そして、全学科の単位を取得するまでには、インターンとして公共の商業施設でマッサージを奉仕するのに十分な実力と自信を身につけます。私の場合、シンガポールでITECのスウェディッシュ・マッサージとアロマテラピー・マッサージの技術を取得したとはいえ、現地で就労することなくアメリカに渡って来ました。したがって、ボディ・マッサージにおいては「ハンド・オン」の経験がまったくなく、どれだけこの機会を持ち望んだことでしょうか。まずは、インターンを実践するにあたり、あらためて体験することの大切さを認識しました。学習してきたことを現場で実践することにより、より知識が深まり、視野も広がります。そして、マッサージは肉体労働ですので体力を消耗しますが、私たちセラピストもクライアントに癒されているのを施術を通して感じることができます。それは、とても前向きなエネルギーで、疲労感の中に新たな活力と爽快感を与えてくれます。 |
| 私たちのインターン・クリニックでは、55分のスウェディッシュ・マッサージを1回30ドルで提供しています。施術に先行して、毎回コンサルテーションを行い、施術後にはアフター・ケアのアドバイスとともにクライアントのカルテを更新します。そして、施術後のクライアントには、評価表の用紙が渡され、インターン生は施術のフィード・バックを書面で受け取ることになります。この評価表ですが、かなり細かい評価づけになっており、アメリカ人は評価にあたり、とても率直で直接的です。よって、よい評価を得れば、とてもうれしく自信にもつながるのですが、反対に悪い評価を得ると、自信喪失に陥ってしまったりといった辛い面もあります。もちろん、その評価を糧に、セラピストとして成長することができるので、とても前向きで有効な情報になります。また、ここでは、ライセンスを所有する卒業生も一緒に働いています。卒業生からは、実技面において学ぶことが多く、彼らとともに従事することはインターン生にとって刺激になります。 |
さて、アメリカ・マッサージの独特な特徴をいくつかあげさせていただきたいと思います。まず、ここでは、宗教・道徳上、厳格な人が多く、人々は肌の露出に非常に神経質です。例えば、テキサスのような南部では、男性の競泳用水着や女性のストリング・ビキニは、多くの公共施設で一般の着用が禁止されています。マッサージにおいても、クライアントの節度を守る目的により、マッサージする身体の部位以外は完全防備で、シーツやタオルで覆うというよりもラッピングするといったニュアンスに近いように思われます。例えば、骨盤のラインを超えた仙骨部や臀部の直接的なマッサージは、クライアントの節度を侵害するものとして好まれません。私は、このようなリアクションを日本を含めたアジアやヨーロッパで経験したことがなかったので、最初はとてもショックでした。 |
| 次に媒体ですが、一般的にオイルよりもローションが好まれます。それは、オイルによる施術後の不快感と衣服へのダメージを懸念するもので、オイルの治療効果などは、ほとんど考慮されません。そして、各部のマッサージが終わる都度、肌の表面に残った媒体をタオルで完全に拭き取ります。ローションには、オイルのようなベタベタ感が少なく、さらっとした肌触りがありますが、少量のアルコールが含まれているので、肌に塗った際に冷たい感触があるのと、オイルに比べて伸びが悪く乾きも速いのが難点です。そして、アジア人に比べて、多様な体型のクライアントをもつアメリカでは、クライアントがマッサージ・テーブルにいる際、身体の特定個所への過剰な負担を避けるために、各種ボルスターを利用するのが一般的です。 |
| マッサージの好みでは、多くのクライアントが、システマティックなクリニカル・マッサージを好む傾向が多く見られます。リラクセーションよりも具体的な身体の不具合、筋肉疲労などの解消にマッサージに来られるクライアントが多く、その場合、スウェディッシュ・マッサージのようなソフト・ティッシュ・マッサージでは、多くのクライアントが満足せず、スポーツ・マッサージのようなディープ・ティッシュ・マッサージを要求されることが多々あります。よって、インターン・クリニックでクライアントのニーズを考慮するとスウェデッシュ・マッサージだけでは、技術的に限界があるといえます。ちなみに、アロマテラピーですが、アメリカではあまり一般的でないようです。 |
| 最後は、私の通う学校のフォート・ワース校で実際に起こったできごとをお話します。アメリカでは、マッサージ・セラピストを含めた美容師、ネールリストなどのサービス業に従事する者は、クライアントからチップを受け取るのが常識となっています。しかし、インターン生は、ライセンスをもたない学生ですから、クライアントからチップを受け取ることは州法で禁じられています。何年か前にフォート・ワース校に通うひとりのインターン生が5ドルのチップを受け取ったことにより、退学処分を受けた上、州の懲戒処分となり永久的にライセンスを取得することができなくなりました。なぜなら、そのインターン生のクライアントは、DSHSの役人だったのです。DSHSは定期的にインターン・クリニックに一般クライアントとして訪れては、このように学校や生徒を視察しているそうです。私としては、何もそこまでしなくてもいいのにと思うのですが、これも、アメリカならではのエピソードのような気がします。 |
| 今回でアメリカ編のレポートは終了しますが、また別の機会で、皆さまにお会いできるのを楽しみにしています。ご愛読いただきまして、ありがとうございました。 |
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さて、アメリカ・マッサージの独特な特徴をいくつかあげさせていただきたいと思います。まず、ここでは、宗教・道徳上、厳格な人が多く、人々は肌の露出に非常に神経質です。例えば、テキサスのような南部では、男性の競泳用水着や女性のストリング・ビキニは、多くの公共施設で一般の着用が禁止されています。マッサージにおいても、クライアントの節度を守る目的により、マッサージする身体の部位以外は完全防備で、シーツやタオルで覆うというよりもラッピングするといったニュアンスに近いように思われます。例えば、骨盤のラインを超えた仙骨部や臀部の直接的なマッサージは、クライアントの節度を侵害するものとして好まれません。私は、このようなリアクションを日本を含めたアジアやヨーロッパで経験したことがなかったので、最初はとてもショックでした。