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| 藤木 由美子 ふじき・ゆみこ
AEAJアロマテラピーインストラクター。日本リフレクソロジー協会認定リフレクソロジストおよびITEC認定ホリスティック・セラピスト。シンガポールでは、リフレクソロジスト、セールスコンサルタントとして業界に従事。 |
| 唐突ではありますが、アメリカでいうところのスパとは、一体どういったものなのでしょうか?渡米に先立ち、マドリッドで、テキサスでの仮住宅を探していたときのことです。現地の不動産屋から送られてきた候補物件のひとつに、アパートの公共施設にスパ設備の完備というものがありました。いうまでもなく、私も主人もスパという言葉に釣られて、その物件に即決したのでした。さて、そのスパですが、実はジャグジーでした。そうです、ここでのスパとは、一般にはジャグジーのことだったのです。事実を知ってがっかりしましたが、よくよく考えてみれば、ダラス郊外の一般住宅の公共施設に、私の想像するようなスパなんて、設備されているはずがありません。その後、会員になったフィットネス・センターでも、スパという名のジャグジーが設備されているのを見つけました。また、ショッピング・モール内のスパと書かれた店舗には、もちろん家庭用ジャグジーが売られています。英和辞書で調べてみるとSpaとは、元来「温泉」ということでした。納得です。 |
| では、私が思い浮かべたようなスパは、果たしてこの土地に存在するのでしょうか。ここに来る前は、テキサス=カウボーイというステレオ・タイプなイメージで、テキサスを過小評価していました。しかし、それは大きな間違いでした。私の住むダラス郊外のプレーノだけでも、かなりの数のスパやマッサージ・サロンがあることがすぐにわかりました。ラグジュアリーなセレブ感覚のデイ・スパもありますが、規模の小さい自然回帰やホリスティックをコンセプトとしたものを多く見受けます。また、マッサージ・サービスと平行して、ヨガのクラスを運営しているところも少なくありません。サロンの内装は、アジアにインスパイアされたものやアメリカン・カントリー風とそれぞれですが、いたってシンプルです。男性セラピストもかなりいるようです。 |
| さて、アメリカでマッサージ・セラピストになるには、住民登録した州のマッサージ・セラピー・ライセンスが基本的に必要です。よって、テキサス州も例外にもれず、自動車運転免許をなくして車の運転が許可されないのと同様に、マッサージ・セラピー・ライセンスを取得していなければ、テキサス州でセラピストとしてマッサージを施すことができません。ライセンスは登録された州のみ有効です。例えば、テキサス州のライセンスで、カリフォルニア州でマッサージを施すことは法的に認められていません。マッサージ・セラピーに関わる法案とマッサージ・セラピー・ライセンス・プログラムは、州によって異なりますので、ここではテキサス州のTEXAS Department of State Health Service(注1)の定めるところの条例を皆さんにご紹介したいと思います。 |
| 条例にはThe Massage Therapy Act (Occupations Code,Chapter 455)とDSHS Rules (25 Texas Administrative Code, Chapter 141)があります。その中で、まず、後者のDSHS Rulesから、いくつか興味深い項目を抜粋させていただきます。まずは、ライセンス申請者の適性についてです。申請者は、下に示す3つの条件のうちの1つを満たしている必要があります。申請には、$117かかります。 |
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(1) は州の認定した教育機関で300時間以上のコース・カリキュラムを完了していることです。内訳は、(A)スウェディシュ・マッサージ実技125時間、(B)解剖学50時間、(C)生理学25時間、(D)ハイドロセラピー15時間、(E)ビジネス概論と道徳倫論15時間、(F)衛生学20時間、(G)インターン・シップ50時間になります。インターン・シップとは、コース終了後、商業施設において実技研修を行うもので、学校がアレンジしてくれるそうです。実際、コースを終了しても、現場で働くきっかけがなかなかもてず、単なる趣味で終わってしまったという不本意な方も、中にはいらっしゃるのではないでしょうか。そういった現状を考慮すると、インターン・シップというカリキュラムは、マッサージ業界という未知の分野で、新しくキャリアを築く人たちにとっては、キャリアにつながるよいきっかけと勇気を与えてくれるのではないかと思います。(1)には、添付書類として、カリキュラムの写しとコースの修業証明書などが必要で、申請後TEXAS Department of State Health Serviceの審査を受けます。 (2) はテキサス州を除いたほかの州および外国において、すでにセラピスト・ライセンスを取得しており、そのライセンスが常に公正な状態で登録(注2)されている2年以上の実務経験をもつセラピストであることです。また、所有するライセンスの資格が、(1)で定義した内容に実質的に等しいものであることが条件づけされています。よって、それを証明する書類として、ライセンス発行機関の署名と認印を記載したライセンス照会宣誓供述書と(1)であげた書類の添付が求められ、申請後TEXAS Department of State Health Serviceの審査を受けます。 (3) はマッサージ・セラピストの関連法案が審議されないほかの州および外国で、1ヵ月の労働時間が36時間以上で、5年以上の実務経験をもつセラピストであることです。それには、それを証明する書類として、元雇用者および元クライアント、そして公証人にあたる人物の計3人の署名と捺印を記載した宣誓供述書と過去の給料所得の写しなどが求められ、申請後TEXAS Department of State Health Serviceの審査を受けます。 |
| 審査を通過すると、解剖生理学の筆記試験とスウェディシュ・マッサージの実技試験の受験票が自宅に郵送されます。試験は、TEXAS Department of State Health Serviceの所在するオースティンで、年に3回の1月、6月、9月に実施され、2年以内に試験を受けるよう勧告されています。試験費用は$150、再試験は筆記が$85で実技が$65となっています。試験に合格すると2年間のライセンスがTEXAS Department of State Health Serviceより発行され、以後2年ごとの更新となります。更新料は$117です。テキサス州だけでも、日本の国土の3倍以上の面積があります。試験がオースティンだけでしか実施されないのは、遠方の受験者には不便ですよね。 |
| ほかにDSHS Rulesでは、申請書の申請方法、申請書に添付する書類の定義、仮ライセンスの執行、取得後のライセンスの取り扱い、ライセンスの懲戒などの行政管理に必要な法令が制定されています。 The Massage Therapy Actの条例は、マッサージを職業として捉えたときの世間一般の常識を問うもので、セラピストの道徳倫理について、州法に基づき項目別に細かくルールを制定しています。ここで一番重要な法令は、ライセンスを所有しない者はマッサージを施術、開業してはならないということです。 |
| また、申請書には、ソーシャル・セキュリティー・ナンバーの提示が義務づけされており、TEXAS Department of State Health Serviceへ個人情報の公開を承認する事項があります。そして、過去の軽犯罪、重犯罪や保護観察の公表宣言する項目もあります。現在、TEXAS Department of State Health Serviceで処理するマッサージ・セラピー申請書の数は、1回の締め切りにつき、1,500通を超えるとのことです。 |
| (注1) TEXAS Department of State Health Serviceのウェブサイトは http://www.dshs.state.tx.us/ (注2) DSHS Rulesの中に、ライセンスの懲戒に携わる法令があります。それは、違反行為を行った認定セラピスト、教育機関やサロンへの処罰やライセンス無効を意味します。TEXAS Department of State Health Serviceでは、過去7年間の懲戒執行履歴を該当する個人の個人情報とともにホーム・ページのリンクの中で一般公開しています。また、同ホームページでは、インターネットでのマッサージ・セラピーに関わるクレームも受け付けています。 |
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